ささのはさらさら

読書や映画・音楽鑑賞、仕事や旅や犬や酒。

スズメバチだ!!!!

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今日はおおきな神社のとなりにある家の木々の剪定を行った。

五月の心地よい風が吹く、すごしやすい日だった。働きやすい日だった。

神社のセンダンの木が風に揺れている。

むらさきの花がサワサワと鳴る。

クスノキが影を落とす。

その下で目を閉じていれば、すぐに眠ってしまいそうなおだやかな日だった。

 

 

 

 

 

しかしながら!

僕はいつものように、犬のようにせかせかと親方たちの切り落とした枝や幹を拾い、2tダンプに載せるために走り回る。

あっつい。

今日もすずしくてよかったわ本当。

えっと、あの人があっちに行ってるから、僕はこう動いたほうがいいよな……。

などと考えながら動いていると、突如野太い声。

 

「おわ”あ”っっ!!」

 

僕が思わずそちらを見ると、ひとりの親方が小屋のちかくの木の枝を見ながらこちらへ走ってくる。

つまり、あるものから視線をそらさず、逃げてきているといった方が正しい。

どうやらハチの巣があったようである。

この季節、どんどんハチたちの行動は活発になる。

彼等(メスだから彼女等か)はせっせと巣作りに励むのだ。

 

「スプレースプレー」

 

親方はスプレーをさがしていたが、どうやら備えていなかったようだ。

親方は「うーむ」とつぶやき、言った。

 

「まぁいいや」

 

良いんだ……。

親方はその後、その木を持って拓けた場所へ移動し、まだちいさな作りかけのちいさな巣だったからそれを踏みつぶし、中から出てきたスズメバチをほうきで叩き落とすと、ふみつぶして殺した。

少々心苦しいが、仕方のないことだ。

 

「あーっ、こわかったー」

 

親方は言った。

 

造園・植木の仕事はハチをはじめとする虫による被害が非常に多い。らしい。

らしい、とは、僕はまだ攻撃を受けたことがないからだ。

しかし、この仕事は虫のすみかに突撃する業種である。

そりゃいつか仕返しを受けるよな、と思う。

ちなみに時折落ち葉を集めているとき、側溝などでムカデを何度かみたことはあるが、刺されたことはない。

 

「安心して。ハチにはいつか必ず刺されるから」

 

僕の上司はそう言って笑った。

必ず毎シーズンにひとりは、ハチにブスリとやられるらしい。

 

アシナガバチだったらまだいいんだけど、スズメバチがねぇ。痛い痛い」

 

これは四人いる上司、親方たちの総意である。

こええ。

めっちゃこええ。

 

「刺されたら、いちばん効くのはキンカンだよ。キンカン

もちろん、なんどもなんども塗るんだけどね」

 

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キンカン塗って、また塗って♪ということであろう。

やはりロングセラーは強い。

 

 「うらやましいねぇ。君はまだまだハチもチャドクガサザンカなどにつくめちゃくちゃかゆくなる毛虫)にもやられたことがない。初体験がいっぱいだ!」

 

上司がニヤリと笑いながら言う。

ちきしょう!

 

とにもかくにも、造園の天敵は、このハチとチャドクガであるらしい。

みなさま、僕は戦いますよ。

 

刺されたときはすぐにうらみぶし満載で書く!!!!

 

それでは!

おやすみなさい おつきさま

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ただただねむりたくなる夜があります。

なぜだかつかれてしまって、世界の終わりでも待つような気持ちになる夜が。

そのくせ、ねむっているうちになんだかいいことがありますようになんて、思ってしまう夜が。

 

つまるところ、憂鬱がそんなきもちにさせるのでしょう。

もういい年になったというのに、いつまでも甘ったれです。

だから僕は、ときどきこの絵本を開きます。

 

 

 

『おやすみなさい おつきさま』

作:マーガレット・ワイズ・ブラウン

絵:クレメント・ハード

訳:せた ていじ(瀬田貞二

出版社:評論社

対象年齢(筆者感覚):幼年から

 

 

www.ehonnavi.net

 

 

 

表紙には暖炉が燃え、窓の向こうには月が星空のなかに浮かび、みどりの壁紙、クリスマスのような赤とみどりのカーテン。

ものがたりは、もうベッドに入っているうさぎのちいさなおとこの子が、部屋にあるいろんなものに「おやすみ」を言っていくというものです。

くしや、壁にかかる絵や、あかりや、あかいふうせんや、こねこや、てぶくろや、「しずかにおし」といっているおばあさんや、ほしや、よぞらや、おつきさまや。

 

やはり、こどもにはすべてのものにいのちが宿ってみえるのですね。

おやすみ、おやすみ、おやすみ。

うさぎの男の子がいうにつれ、部屋はだんだんとくらくなっていきます。

そして、そのぶん、そとのおつきさまはあかるく見えてきます。

 

おやすみ、おやすみ、おやすみ。

 

マーガレット・ワイズ・ブラウンの文章、クレメント・ハードの絵、瀬田貞二氏の訳文。

すべてがおだやかな、かつどこかさみしいこの絵本を作り上げるために一役買っています。

 

 

夜のとばりが降りてきて、世界はしずかにしずかに、息をひそめていきます。

どこかで熊の親子が歩き、ムカデが地を這い、野犬が川の水をなめ、小魚が海面を跳ね、サギが一声叫んで空を行きます。

僕はお酒を飲んで、深夜のテレビを意味もなくながめ、救われることもなく、なにかが変わることもない時間を過ごします。

あぁ、やっぱり、もうねむらないといけません。

一日を終わらせなければ。

それだけが僕にのこされた道な気がしています。

 

おやすみ、おやすみ、おやすみ。

 

どうか、このうさぎの男の子のようなこどもたちが、たのしく過ごせるくらいには、すてきな世界であれと思いながら。

 

 

 

このすばらしい絵本を紹介する記事がこのような文章になってしまって申し訳ないのですが、やはり僕は、この絵本を読むと、なんだかさみしくなってしまうのです。

そして、なんだか僕自身がさみしくなってしまったとき、おかしなはなしですが、読むとすこしさみしくなるこの絵本を時々パラパラとめくります。

すると、ふしぎとすなおに「おやすみ」と言えるような気分になれるのです。

 

そろそろほんとうに、僕もねむらなければならない時間になってきました。

 

おやすみ、おやすみ、おやすみ。

 

おやすみなさい。

それでは!

ジルベルトとかぜ

風が強く吹いた日でした。

びゅおーん、ぐおーん、と、風はうなりを上げて、草むしりをしている僕等のそばを通り過ぎていきました。

 

「うおおおおおーい! かぜくん! ねえかぜくん! もうやめて! 本当にやめて!!!」

 

風は僕が必死に集めた刈葉の軽い部分を吹き飛ばし、びゅおーん、ぐおーんと去っていきました。

 

「うう、うううう……」

 

僕はまたシャカリシャカリと、ほうきで草を集めました。

悔しいのう、悔しいのう。

しかし、自然には勝てない。

それが造園の仕事ですね。

 

さて絵本好きな方は、お察しでしょう。

 

今回ご紹介する絵本は……。

 

『ジルベルトとかぜ』

作:マリー・ホール・エッツ

訳:たなべ いすず(田辺 五十鈴)

出版社:冨山房

対象年齢(筆者感覚):5さいくらいから

 

 

www.ehonnavi.net

 

ジルベルトとかぜ

ジルベルトとかぜ

 

 

こちらでございます!

 

 

風や、自然のものとおはなししていたあのころ。

 

こちらの作品の作者は『もりのなか』で有名なマリー・ホール・エッツです。

彼女はほんとうに、子どもの見ている世界を文章にすることに関して天下一品なのではないでしょうか。

この『ジルベルトとかぜ』のなかでも、主人公の男の子ジルベルトくんが、さまざま表情を見せる風とお話をする、という作品です。

 

たとえば、ジルベルトのすむまきばの木戸がはりがねで留まっていないとき。

風は木戸を押し開けたり、ばたんとしめたり、ぎしぎしきいきいゆすります。

 

「かぜくん! ねえ かぜくん!」きどにのぼって、ぼくは いうんだ、「ゆすってよ!」

でも ぼくが のぼってると おもすぎるんだ。うごかせないんだよ、かぜには。

 

こどもはきっと、世界をこんなふうにみているのでしょうね。

ジルベルトには、風の声まできこえているのです。

 

長新太さんの本だったか、五味太郎さんだったか、どなたのおはなしかは忘れてしまいましたが、『おさないころはすんなり「おさかなさん」だったり「おうまさん」だったり「コップさん」だったりを認めて、すべてのいきものや物体が近いところにある。

アニミズムの世界に近い』とおっしゃられていました。

 

この絵本も、ジルベルトにすると、風はいきもので、ともだちです。

風はわがままで、いたずら好きで、ときどきやさしい。

ジルベルトが「ふいて!」というときにはふかないで、ふかなくていいときにふいて、ジルベルトをこまらせたり、怒らせたり。

風ってそういうものですよね。

だからこそ、今日も僕を困らせたわけです。

でも、そのほかの時はすずしくてきもちよかったりするんですよねぇ。

 

表紙は明るい黄色ですが、ページをめくると、鶯色をより暗くしたようなシックな色の紙に、エッツの音のないようなしずけさがただよう絵が広がります。

色は、紙の色、黒、白、茶だけ。

この絵を見て騒ぎたくなる人はいないでしょう。

 

『もりのなか』もそうですが、僕はなんだか、エッツの絵本を読むと、心の波がしずかにおさまっていく感じがします。

椎名誠さんも、著作の中で、「ウイスキーをちびちびなめながら読む」なんて書いていたなぁ。

 

僕はまた、風の強い日にはジルベルトのようになりながら、「やめてくれかぜくんやい!」と叫ぶのでしょう。

しかし、風の声は、もう聞こえません。

でも、この絵本を読めば、風の声が聞こえていたあのころを思い出すことが出来るかもしれません。

 

ぜひ一度ごらんください!

 

 

それでは。

世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海

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一時期、本屋さんでアルバイトをしていたことがありました。

地元でもそれなりにおおきな本屋さんだったので、老若男女問わず、さまざまなお客さんがやってきて、書籍の需要などが知れておもしろかったです。

 

 

「わぁ、ものすごく派手なおねぇさんだ。メイクも気合入っているぜ。おしゃれな雑誌でも買うのかな? ……えっ、BLの本を13冊?!」

 

「へぇ、この雑誌、クーラーボックスのおまけつきか。こっちは超人気女優、Mさんプレゼンツのポーチか。

……えっ! 予約300件?!」

 

「あっ、ジャニーズの人気アイドルが新曲出すんだな。

初回限定版が3バージョン、通常盤が2バージョンか。すごいな。

……えっ!! 全部予約したい人が70人以上?!」

 

 

などなど、やはり誰もが知っている、人気のあるものは強い。

ということが、いやがおうにも理解することができました。

 

とにもかくにも、だいじなことは、僕が本屋さんでアルバイトしていたということ。

ある日、児童書コーナーで仕事をしていると、おかあさんとちいさな男の子がいて、男の子がおかあさんに本をおねだりしていました。

いわく。

 

「おかあさん、これほしい」

「なんねそれ。

『恐竜世界のサバイバル』?

 

あんた恐竜と戦わんめぇもん」

 

[rakuten:booxstore:10780355:detail]

 

その言葉を受けて、僕は思いました。

 

ちがうんですおかあさん!

お子さんはただ知りたいだけなんです!

恐竜とはなんなのか、どれだけでかいのか、強いのか、かっこいいのかを!!!

べつにその世界でサバイブしたいわけではないのです!

でも行けるなら行ってみたいとは思ってます。

 

 

ちいさい頃って、最強とか、どっちがでかいとかいうお話が好きでしたよね。

(と書こうと思いましたが、今も好きでした。

僕の周りの男たちもみんなそんな話が好きです。

うむ。男はそれでいいのです。)

 

 

というわけで、今回ご紹介するのはこちらの絵本。

 

『世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海(いきもの・地球のいちばん事典)』

絵:ペイジ・チュー

出版社:パイ インターナショナル

対象年齢(筆者感覚):小学校高学年向け

 

www.ehonnavi.net

 

『——いちばん大きな恐竜はなんだろう

——いちばん大きな嵐はどのくらいの大きさだったのだろう。

——いちばん高い木はどこにあるんだろう。

——海のいちばん深いところにすむ生きものはどんな姿だろう。』

 

 

この『世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海』の前書きにはこうあります。

僕等はおとなになっても、知らないことばかりなのに、知ったらたのしいことばかりなのに、「知らなくてもいい」のほうが強くなって、いつしかそれを知りたいとも思わなくなってしまいますよね。

 

たとえば、地下に街をつくって暮らしていた人々のこと、4600キロの旅をするチョウ、一分間に平均で28回の稲光を見ることが出来る場所、4000年以上生きるサンゴ。

 

あぁ、この瞬間にも、どこかでなにか信じられないことが起きているのですね。

この前書きの文言にワクワクしたら、すこしページをめくってみませんか?

きっと、世界のことが読む前よりも好きになります。

 

 

個人的には、このあえて古い本のようなタッチの挿絵、紙の色・シミの感じが、冒険ものの映画みたいで好きです(『インディー・ジョーンズ』とか『パイレーツ・オブ・カリビアン』とかのイメージ)。

なんだか宝物にしたくなるような作られ方をしています。

ただ、ちょっとむずかしいことばも載っていますので、高学年のこどもに特におすすめします。

もちろん、そこの毎日退屈そうな顔をしている若者・おとなたちにもおすすめです!

 

それでは!

ムクドリちゃんかわいいちゃん

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ムクドリが実にかわいい。

彼等は我々人間が草むしりに勤しんでいると、スズメ、ハト、カラスなどと飛んでくる。

とくにいっしょにいるのはスズメだ。

気づくとピョンピョン飛び回って、互いに邪魔することなく、いっしょに地面をつついている。

 

なかよしなのかしらん?(絵本脳)

 

実際ムクドリは種類的にもスズメのなかまなのだそうだ。

 

で、そのムクドリちゃんであるが、何度も言うが、とにかくかわいいのである。

 

まず見た目のかわいさも大きい。

体はハトみたいに丸くなくてシュッとしている。

クチバシと脚がオレンジなのもおしゃれである。

からだの白と黒に映えている。

 

そして彼等は飛んでくると、その頭を低くして上下に動かすという歩く際の動作からか

 

「へへへ、すいやせんねどうも。食い物探しやすくしていただきやして」

 

とでも言っているかのように見えるのである。

 

「お前らのためじゃないやい!」

 

僕は言ってみるがムクドリ「へへへ、どーもね。すいやせんね」と歩き、つつき続ける。

 

彼等はなかなか飛び去らないのも良いところだ。

追いかけて、追いかけて、手が届きそうなところまで来ると

 

「これ以上はマズイッッ!」

「ずらかれッッ!!」

 

といったような、ピョッッと鋭い声を上げて飛び去る。

もっと早く逃げればいいのに。

かわいい。

 

群れで行動する鳥らしく、かならず2.3羽がおなじ箇所にいる。

ひじょうにのどかで癒される光景である。

 

「ほれ、どけどけー」

 

と、僕は進行方向にいると心のうちで言う。

すると彼等は「と、とりあえず逃げろぉっ」と走る。

その後ろ姿もかわいい。

 

しかし、近年では数が増えすぎて、害鳥としても問題になっているらしい。

 

うーーーーむ、かなしいことだ。

たしかに鳴き声は大きな群れになるとやかましいだろうなぁ。

 

だが僕はこの鳥が好きだ。

というお話でした。

エンソくんきしゃにのる

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旅に出ましょう。知らないところへ。知ってるところへ。

 

僕の家は電車の線路から近く、なかなかにしずかな住宅街なので、電車の通る時間になると、ガタゴト、ガタゴトと音が聞こえて、電車が遠ざかっていくのを感じることが出来ます。

その音を聴きながら、「どこか遠くにいきたいなぁ」などと思ってみたり、「みんなどっかに行ってるんだろうなぁ」なんて考えたり。

住んでいるところが田舎に片足が入ってしまっているような土地柄なので、山の方に向かって電車に乗ろうものならば、2,3駅で今ならレンゲソウ、菜の花やらが咲きみだれる田園風景のなかへ。

はぁ、どこかへいきたい。

街の中はせかせかしていて、呼吸が浅くなってしまいます。

深く息を吸えるところが良いですね。

 

と、ここまで考えて、僕はスズキコージさんの『エンソくんきしゃにのる』のことを思うわけなのでした。

 

 

 

『エンソくんきしゃにのる』

作:スズキコージ

出版社:福音館書店(僕が持っているのは『こどものとも』の抜き刷り版です)

 

www.ehonnavi.net

 

 

まず最初にお断りをいただきたいのですが、わたくし、スズキコージさんのファンです。

絵本作家のなかでいちばん好きだと思います。

ほかの絵本作家とは一線を画した、おどろおどろしいと言われてしまうかもしれない魔法の国のようなイラスト、豪快でたのしいストーリー。

この方の絵本から伝わってくるメッセージは、僕個人としては

 

「とにかく楽しく自由に生きろ!」

 

なのです。

この方の絵本からは、ブカブカドンドンと演奏する楽隊の音が聴こえてくるの気がします。

たのしいたのしいおはなしの時を知らせる楽隊です。

僕は、そんなスズキコージさんが好きです。

 

そしてそんなスズキコージさんの絵本をおすすめするときに、まちがいなくいちばん最初に出てくるのもこの絵本です。

 

 

良い子も、いたずらっ子も、はみだしものも、みんな集まっておいで。

 

物語は、エンソくんがはじめてひとりでとおいいなかに住むおじいさんの家に、きしゃにのって訪れる、というものです。

絵本の物語は、個人的に「たったこれだけ」という話が好きです。

その「たったこれだけ」に、どれだけ作家なりの色をつけていくかがおもしろいですよね。

 

そして、この絵本の色は、まさにスズキコージ節全開の、遠い国のような魔法の国のような、すこしこわくて、ヘンテコリンで、だけどだからこそ、どんな子どもでも(いい子だっていたずらっ子だってはみだしものだって)受け入れてくれそうな、やさしくて自由なものです。

 

エンソくん(書きながら気づいたのですが、遠足から来てるんですね、たぶん)は、きしゃの旅で、途中の駅までいっしょに乗るおばさんと、そのあと、たくさんのひつじと乗ってくるひつじ飼いと出会います。

彼等は、セリフこそ少ないですが、エンソくんを見守ってくれるおとなたちです。

 

このおばさんとひつじ飼いはきっと僕たち、どこにでもいるようなおとなのことなのでしょうね。

僕もきっと、エンソくんみたいに、ひとりできしゃに乗って、どこか緊張しているような、わくわくしているような子どもと相席になったら、はなしかけたくなってしまうことでしょう。

 

見どころはやはり、ひつじ飼いのシーンでしょうか。

特に、エンソくんがおべんとうを買って、ふたを開けると、おおきなひつじのかたちのコロッケがごはんにのっているところなんて、きっとお子さんはよろこぶと思います。

なぜなら僕も「うおーっ」と言ってしまうくらい、おいしそうでかわいい。

おとなからすると、ひつじ飼いが、トウモロコシと飲んでいるびんの中身が気になるかもしれません。

ぶどう酒か、ラム酒あたりでしょうか。

 

 

ただ、ほんとうに僕からすると、1ページ1ページが見どころです。

いいとししたおとなのくせに、「旅してるとき、こんな世界があったらな」なんて考えてしまいます。

ぜひ一度手に取ってみてください。

きっと、どこか遠くへいきたくなってくる、そんな絵本になっています。

 

酒飲みながらコロッケ食いてぇなぁ。

 

それでは!

カブトムシの幼虫ちゃん2

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昨日、ついにカブトムシの幼虫ちゃんのために土を買ってきて入れ替えた。

なにはなくとも、一も二もなく、エニウェイ的に高さが必要なのだ、高さが。

お分かりいただけますか皆様、さなぎになるとき、なぜかこのカブトムシといういきものたちは縦になって蛹室(ようしつ)というものを作るため、広さより高さが重要になってくるわけですよ。

というわけで、タライに買ってきたカブトムシ用の土をぶちまけ、買ってきた霧吹きで水を「これでもか、これでもか」とかけた。

目安は素手でにぎって、触るとほぐれるくらい。

僕は片手で持ち上げて握ってみる。触ってみる。

うーむ……

 

わッかんねぇ!

 

そもそも最初から湿り気があって、握ったらそれなりに固まるのだ。

仕方なく、霧吹き霧吹き、もうここらでよかろう、と湿りきったところで虫かごに入れていく(握ったときに水が滴ったらだめとのこと)。

カブトムシの幼虫ちゃんも敷き詰め終わった上に置く。

そうしたらこの子たちは勝手にもぐっていくとのこと。

おっ、もぞもぞしだした。

あっっ、もぐりだした!

よしよし、これで万全。

なんだよちくしょう。かわいいじゃねえかよ。

 

ちなみにごはんは、この土に含まれた枯葉をもぐもぐと食らうらしい。

そしてうんちがしたくなったら、一旦地上に出てきてプリプリっとやっちゃってまた戻る。

 

えっ、なにその動き。

ふしぎだ。

やっぱり「土の中でやったらきたないよネ。モテないよネそんなことしたら」なんて思っているのかしらん。

しかしそのあいだに鳥とかに食われちゃったらどうするんだ。

 

うんちが身近にある > 鳥に食われてしまうリスク

 

ということか。

僕ら人間には理解できないところであるな。

まぁとにかく早くさなぎになったところが見たいものだ。

幼いころはよく父親とつかまえに行っていたが、そうなるともちろん成虫ばかりだったものな。

幼虫から育てるなんて手間だし、その分大人になったなぁ、などとおもってしまう。

 

調べたところ、五月あたりからさなぎになっていくらしい。

つまりもうすぐだ。

なっちゃえなっちゃえ。

雄々しくたくましくなっちゃえよ。

でも、メスだとしてもかまわないよ。

それでもぼくは愛しぬくよ。

 

しかし土は待たせてしまったね。ごめんねうふふ。

最初はちゃんと育ててあげられるか不安だったが(今も不安だが)、やはりふしぎと愛着が湧くものである。

ちゃんと育ててあげてぇ。

日の光のもとに出してあげてぇ。

勇ましい姿にしてあげてぇ。

 

カブトムシの幼虫ちゃん、お父ちゃんがんばるけんね!!

 

あ、名前はトムにしよう。

カブトムシだから。

真ん中のトムを取って。

トム。