さようなら、ギャングランド
やはり東山彰良の小説はおもしろい。
スピード感がすばらしい。
特にギャング・チンピラ物。
暴力、欲望がグルングルンと渦巻き、登場人物たちは血まみれ泥まみれになりながら、ある時はクールに、ある時は路地裏のゴミのようにみすぼらしく、その渦中を駆け抜けていく。
今回読んだ『さようなら、ギャングランド』も素晴らしかった。
登場人物は一癖も二癖もあるチンピラゴロツキヤクザにポン引き。
「この人の作品こういうの多いな」
私は素直にそう思ったりもするが、登場人物が持つ矜持、人生観が皮肉たっぷりの少々気障とも言える作者の文章で描かれると「ひゃーっ!!」と、早く早くとページをめくってしまう。
女性の描き方もまた良いんだ。
こんな作品だから頭の悪い娼婦だったり、いわゆるビッチだったりするわけだけど、そういうキャラクターだからこそ愛情が深い。そして移り気だ。
思うに移り気であることは、決して愛情が無いわけではないのでないだろうか。
などと、この作者が書くようなことを考えてしまう。
むしろ逆で、愛をたくさんの方向に向けることが出来るのでは。などと。
東山彰良は良い。
ただ、二回目になるが、作品のストーリーが似ているのが多いから、
「あれ、これ読んだっけ……」
と本棚の前で頭をひねらせねばならないのが弱点である。
まぁ何回読んでも面白いのだけれど。
次は『さよなら的レボリューション』を読もうと思っている。
……これ読んだっけ。