世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海
一時期、本屋さんでアルバイトをしていたことがありました。
地元でもそれなりにおおきな本屋さんだったので、老若男女問わず、さまざまなお客さんがやってきて、書籍の需要などが知れておもしろかったです。
「わぁ、ものすごく派手なおねぇさんだ。メイクも気合入っているぜ。おしゃれな雑誌でも買うのかな? ……えっ、BLの本を13冊?!」
「へぇ、この雑誌、クーラーボックスのおまけつきか。こっちは超人気女優、Mさんプレゼンツのポーチか。
……えっ! 予約300件?!」
「あっ、ジャニーズの人気アイドルが新曲出すんだな。
初回限定版が3バージョン、通常盤が2バージョンか。すごいな。
……えっ!! 全部予約したい人が70人以上?!」
などなど、やはり誰もが知っている、人気のあるものは強い。
ということが、いやがおうにも理解することができました。
とにもかくにも、だいじなことは、僕が本屋さんでアルバイトしていたということ。
ある日、児童書コーナーで仕事をしていると、おかあさんとちいさな男の子がいて、男の子がおかあさんに本をおねだりしていました。
いわく。
「おかあさん、これほしい」
「なんねそれ。
『恐竜世界のサバイバル』?
あんた恐竜と戦わんめぇもん」
[rakuten:booxstore:10780355:detail]
その言葉を受けて、僕は思いました。
ちがうんですおかあさん!
お子さんはただ知りたいだけなんです!
恐竜とはなんなのか、どれだけでかいのか、強いのか、かっこいいのかを!!!
べつにその世界でサバイブしたいわけではないのです!
でも行けるなら行ってみたいとは思ってます。
ちいさい頃って、最強とか、どっちがでかいとかいうお話が好きでしたよね。
(と書こうと思いましたが、今も好きでした。
僕の周りの男たちもみんなそんな話が好きです。
うむ。男はそれでいいのです。)
というわけで、今回ご紹介するのはこちらの絵本。
『世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海(いきもの・地球のいちばん事典)』
絵:ペイジ・チュー
出版社:パイ インターナショナル
対象年齢(筆者感覚):小学校高学年向け
『——いちばん大きな恐竜はなんだろう
——いちばん大きな嵐はどのくらいの大きさだったのだろう。
——いちばん高い木はどこにあるんだろう。
——海のいちばん深いところにすむ生きものはどんな姿だろう。』
この『世界でいちばん高い山世界でいちばん深い海』の前書きにはこうあります。
僕等はおとなになっても、知らないことばかりなのに、知ったらたのしいことばかりなのに、「知らなくてもいい」のほうが強くなって、いつしかそれを知りたいとも思わなくなってしまいますよね。
たとえば、地下に街をつくって暮らしていた人々のこと、4600キロの旅をするチョウ、一分間に平均で28回の稲光を見ることが出来る場所、4000年以上生きるサンゴ。
あぁ、この瞬間にも、どこかでなにか信じられないことが起きているのですね。
この前書きの文言にワクワクしたら、すこしページをめくってみませんか?
きっと、世界のことが読む前よりも好きになります。
個人的には、このあえて古い本のようなタッチの挿絵、紙の色・シミの感じが、冒険ものの映画みたいで好きです(『インディー・ジョーンズ』とか『パイレーツ・オブ・カリビアン』とかのイメージ)。
なんだか宝物にしたくなるような作られ方をしています。
ただ、ちょっとむずかしいことばも載っていますので、高学年のこどもに特におすすめします。
もちろん、そこの毎日退屈そうな顔をしている若者・おとなたちにもおすすめです!
それでは!