『宇宙の話をしよう』
『宇宙の話をしよう』
宇宙。
きっと誰もが一度はあこがれたことがあるはず。
「重力がないらしいよ」
「まっくらなんだって」
「空気だってないんだよ」
「光の速さで何億年かけて進んでも、はじっこに着かないんだって」
「太陽って、地球の100倍くらい大きいんだって」
ほんのちょっぴり書くだけでとんでもないところだとわかる。
まさに摩訶不思議な場所。
それが宇宙!
『宇宙の話をしよう』というタイトルのこの本は、宇宙が大好きな小学6年生の女の子、ミーちゃんと、そのお父さん(パパ)が、タイトル通り、宇宙の話を繰り広げるものになっている。
パパはNASAでエンジニアとして働いていて、とても宇宙にくわしいのだ。
親子の会話はまるで漫才のようで、スイスイ読み進められるので、小学生くらいの子どもでも安心だ。読み仮名もちゃんと振っている。
ただこの本、個人的にひとつだけ気になるところがあり、それが内容の大部分を占めているので書かせていただく。
それは、この本、タイトルは『宇宙の話をしよう』とあるのだが、内容はほぼすべてがロケットを開発した人物たちに焦点を当てたものであるということである。
「これ『宇宙の話をしよう』というより、『ロケット作成者の話をしよう』じゃないか」
と思いながら読んだのだが、この作品の根本的なストーリーは、主人公ミーちゃんの持つ「好き」が、ほんのちょっぴり人とズレていて、その「好き」が、抑えることが出来ないくらいのものだったから起きてしまった、周囲とのすれ違いにより始まる。
「その気持ちは間違ってないんだよ」
パパがそうミーちゃんに気付かせようとするのが一番の目的なのだ。
だからこそ、夢がたくさんつまった「宇宙」ということばを使ったのであろう。
言いたいことはわかるので、私は「うむ、そうか、わかった」と、とやかく言わないことにしたが、宇宙の知識が楽しく学べると思ってお子さん等に購入を考えている方は、一度検討した方が良いかもしれない。
ただ、夢を見ることのすばらしさ、厳しさを教えてくれる良書であることは確かである。