『キャプテンうみへいく』
『キャプテンうみへいく』
我々はこの作品の主人公であるキャプテンの初志貫徹ぶりを見習わなければならないでしょう。
キャプテンはとにもかくにも是が非でも、船に乗って海へ行きたかったのです。
物語のはじまり、キャプテンは飛行機にも、潜水艦にも、車にも、地下鉄にも誘われるのですが、キャプテンはすべてお断り。
彼の向かう場所は海だけです。
なんて固い意思でしょう!
自分で一度決めたことなのにゆらゆら迷ってしまうことばかりの私は思わず「エライなぁ」とうなってしまいます。
そうして彼は船に乗り、あこがれの大海原へ。
もちろんそこから先は大冒険の毎日です。
無人島に流れ着いたり、知らない国へたどり着いたり。
マーガレット・ワイズ・ブラウンによる物語は、やはり、こどものための文章の作り方がされています。
「ぼうしをぼうしかけに、うわぎをうわぎかけに」
「きいろいくつはおおきすぎて しろいくつはぴったりでした」
など、これならこどもにも理解ができるし、なにより、なんだか楽しい気持ちになってきます。
絵は『大きな森の小さな家』シリーズの挿絵を描いたことで有名なガース・ウィリアムス。
彼の絵はクリスマスのようです。
いつだって懐かしさを運んできてくれます。
好きなことはやってみましょう。
そしてそれを、おもいっきり楽しみましょう。
周りに流されず、自分の好きなことを。
キャプテンはそんなことを教えてくれます。
私も初志貫徹できるようにしなければ……。