おおかみと七ひきのこやぎ
愛しのフェリクス・ホフマン!!
幼いころ、家の近くの病院にこの絵本はありました。
風邪をひくといつも連れてこられていた病院。
一時間に一回、ゴーンとなるおおきな置時計がある病院でした。
母親が読んでくれる声と、消毒液のにおい。
思い出の絵本で、少し前に、地元の古本屋に安くで売っていたので購入。
どこかの幼稚園から引き取られたもののようで、本のさいごに印がありました。
これが古本屋のいいところですね(鼻息)!
かしこいこやぎたちと狡猾なおおかみ
この絵本のものがたりは、おかあさんやぎがおでかけする際、7匹のこやぎたちに「おおかみがくるからとびらをあけないこと」といいのこして、こやぎたちはしっかり約束するのですが、おおかみのあの手この手のやり口に、とうとうとびらをあけてしまう。
というものです。
こやぎたちはすえのこをのこして食べられてしまうのですが、まるのみにされたので、おかあさんやぎに見つかった時にはまだ生きていました。
おなかいっぱいでねむってしまったおおかみのおなかをハサミで裂いてこどもたちを救い出し、そのかわりにおおきな岩を詰めて糸でぬい、起きたおおかみはどうにものどがかわいて、井戸で水をのもうとして転落し、岩のおもさに耐えきれず、そのままおぼれて死んでしまいます。
「……いま読むとけっこうえげつないことしてるな」
絵本あるあるですね。
犬が好きで、現在、元野良犬の雑種を世話している僕からすると、おおかみが少し我が家の犬に似ていて心苦しいです。笑
しかし、フェリクス・ホフマンの絵は宝石のように純粋で美しく、その世界は、なんびとにもけっして傷つけられないような、ふしぎなちからを感じます。
だからこそ子どもたちも、私たちおとなも、安心してこの作家の絵本を読むことができるのでしょう。
もちろんストーリーも、原作がグリム童話であるためか、絵本のきほんである、だんだんとおおかみがこどもたちの信頼を得るための行動をおこす、くりかえしの展開。
7ひきのこやぎたちが、おおかみが突入してきた際かくれる場所を丁寧に書く、数字の勉強にもなるし、子どもがわくわくハラハラする見せ方も自然に取り入れています。
さいごは見事なまでのハッピーエンド。
素直にこれを見て「わぁ、よかった」という子もいるでしょうし、たぶんきっと「でも、おおかみはちょっとかわいそうかも」と思う子もいるでしょうね。
どちらの子の感想も間違っていませんね。
だからこそ、おとなになって、いろいろな見方もできる一冊だと思います。
おすすめです。
それでは。