『キャプテンうみへいく』
『キャプテンうみへいく』
我々はこの作品の主人公であるキャプテンの初志貫徹ぶりを見習わなければならないでしょう。
キャプテンはとにもかくにも是が非でも、船に乗って海へ行きたかったのです。
物語のはじまり、キャプテンは飛行機にも、潜水艦にも、車にも、地下鉄にも誘われるのですが、キャプテンはすべてお断り。
彼の向かう場所は海だけです。
なんて固い意思でしょう!
自分で一度決めたことなのにゆらゆら迷ってしまうことばかりの私は思わず「エライなぁ」とうなってしまいます。
そうして彼は船に乗り、あこがれの大海原へ。
もちろんそこから先は大冒険の毎日です。
無人島に流れ着いたり、知らない国へたどり着いたり。
マーガレット・ワイズ・ブラウンによる物語は、やはり、こどものための文章の作り方がされています。
「ぼうしをぼうしかけに、うわぎをうわぎかけに」
「きいろいくつはおおきすぎて しろいくつはぴったりでした」
など、これならこどもにも理解ができるし、なにより、なんだか楽しい気持ちになってきます。
絵は『大きな森の小さな家』シリーズの挿絵を描いたことで有名なガース・ウィリアムス。
彼の絵はクリスマスのようです。
いつだって懐かしさを運んできてくれます。
好きなことはやってみましょう。
そしてそれを、おもいっきり楽しみましょう。
周りに流されず、自分の好きなことを。
キャプテンはそんなことを教えてくれます。
私も初志貫徹できるようにしなければ……。
明るい夜にでかけて
エレファントカシマシの「友達がいるのさ」を思い出した。
俺はまた出かけよう あいつらがいるから
明日もまた出かけよう 友達がいるのさ
俺はまた出かけよう
なんて歌詞の曲である。
まあこんなに暑い小説じゃなかったけど。
結局人間に疲れても、人間に救われるのだ人間は。
出かけよう。出かけよう。
うまくいかなくても死にたくなってもわめきたくなっても友達がいるのだ、我々には。
あやしい探検隊アフリカ乱入
気が付けばすっかりと秋である。
夏よさらば。また来年。とか言ってたらあっという間に一年過ぎて気づけば夏になってんだ。
それがこの世のからくりだ。まったく、困ったもんだ!
読書の秋などと言われておるわけで、母さん、今私は椎名誠の人気シリーズの一冊、『あやしい探検隊アフリカ乱入』を読んでいます。
1991年の刊行らしい。私のひとつ年上の作品だ。
うーむ、歴史あるシリーズだ。
この本の中で、椎名さん率いる愉快痛快暴力的強面集団「あやしい探検隊」は、とうとう人類誕生の地、アフリカへ。
椎名さんは、自身の読書、映画鑑賞によりアフリカには思い入れがあるらしく、特にマサイ族に対しての思いは、本作の中でも存分に語られています。
アフリカかぁ。
アフリカといえば、いつか砂漠に行ってみたいのだ。
椎名さんといえば、桜蘭、タクラマカン砂漠の冒険の書籍『砂の海~楼蘭・タクラマカン砂漠探検記』がある。
私の旅の欲求はこの方の書籍からもらうことが多い。
いいよなぁ、砂漠。
『星の王子さま』も砂漠だし。
砂漠の夜は さぞ静かだろう
サンボマスターもこう歌っていた。
しずかなのかなぁ。
確かめてみたいものだ。死ぬまでに。
とにもかくにも、『あやしい探検隊アフリカ乱入』。
良い本だ。
台風は過ぎ去った
今回の台風はどでかいものであった。
とにかく僕の住む町はびゅうびゅうと風が唸り、それは僕のねぐらになっている部屋の窓の向こうに生えているイチジクの枝をこれでもかと揺らして、窓をカシュカシュと撫でる。
僕は思わず「うーむ」と唸った。
「イチジクは美味い。甘酸っぱくて、ねっとりしていて、それでいてシャキッとしたところもある。
果実としては上々である。
その気になればイチジク酒も出来るし、イチジクジャムもできる。
うむ、素晴らしい。
されどなにぶん葉がでかい。
見たまえ、この暴風に曝されるどでかい葉っぱ!
天狗が持っててもおかしくないもの、こんなの!」
僕の部屋の前に生えているイチジクは、その枝の生え方の性質、つまりは鹿の角のようにぐねりと素直には伸びず、一度軽く下がるように枝を伸ばし、そのままできる限り上に向かって伸びていくという生え方により、肥大化したその全身はさながらムース(ヘラジカ)のようであった。
「ゃん怖い」
今まさにこの瞬間に窓ガラスを突き破ってこないか、なかなかにオソロシイものがありました。
やはり木々の剪定は大事ですね。
みなさま、庭の木々が伸びてきたら自ら調整、あるいは身近な植木屋さんへのご相談をお勧めいたします。
結局イチジクの枝は、我が部屋の窓を突き破ることはありませんでした。
重畳重畳。
でも、イチジクちょっと切ろうと思います……。
『キリンのセラフィナ』
気付いたら二週間投稿をしていませんでした。
ううむ、やはり怠けたらいけませんね。
とにかく小さな文章でも書こうと腕を組み、ほぞを固めました。
この二週間の間に僕の住む町は梅雨に入りました。
土砂降りの日があったと思えば、もう夏になったかのような日照りの日もあります。
どちらにせよ、外仕事からすれば地獄。
休みを心待ちにして毎日を送っていました。
そしてお休みになれば、もちろん図書館へ。
今回も出会えました、面白い絵本に。
気付けました、絵本の魅力に。
『キリンのセラフィナ』
作:ロラン・ド・ブリュノフ
訳:石津ちひろ
出版社:BL出版
大名作です!
作者、ロラン・ド・ブリュノフの作品は『アナトールさんのロバ』を読んだことがあったのですが、その際は「フランスっぽいおしゃれな絵を描く人だなぁ」という、分かっているのか分かっていないのかといったような感想しか抱かなかったのですが、この作品は実にすばらしかったです。
まず、一目見た色合いがすばらしいのです。
実にかわいらしい。そうして楽しそうなこと。
物語は、キリンのセラフィナが、いなかのおばあちゃんのところを訪ねる、というものなのですが、おばあちゃんの家の近くにはいろんな動物の友だちがたくさんいて、遊んだり、車に乗ったり、ケガをするものもいたり。
実に独立した世界観のなかで、キャラクターたちが楽しそうにはしゃぎまわります。
そしておばあちゃんキリンがもうすぐ誕生日だということで、セラフィナたちはパーティーの準備を始めます。
さぁ、セラフィナたちはしっかりお祝いの準備をして、無事にパーティーを開くことができるのでしょうか。
また、この絵本は友だちがたくさん出てきていっしょに遊んで助け合います。
きっとこれを読んだ子どもたちは友だちと遊びたくなって、また、その友だちを大切にしようと思うはずです。
なぜなら三十路の僕も、これを読んで友だちに会いたくなったくらいなのです!
おすすめです。ぜひどうぞ!
それでは!